Japanese
English
原著
Trichophyton violaceumによる頭部白癬の1例—症例報告と菌学的観察
A Case of Tinea Capitis Caused by Trichophyton violaceum:Case Report and Mycological Observation
仲 弥
1
,
増田 光喜
1
,
原田 敬之
1
,
西川 武二
1
Wataru NAKA
1
,
Mitsugi MASUDA
1
,
Takashi HARADA
1
,
Takeji NISHIKAWA
1
1慶応義塾大学医学部皮膚科教室
1Department of Dermatology, Keio University School of Medicine
pp.953-957
発行日 1986年10月1日
Published Date 1986/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412203548
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Black dot ringwormからケルスス禿瘡に移行した79歳女子のTrichophyton violaceum感染症例を報告した.自験分離菌株は分離当初より,含有成分の異なる2種類のサブロー培地上で,それぞれ淡黄色湿性集落,紫紅色蝋様集落を呈した.各々の集落をそれぞれ他方の培地上で培養したところ,前者は紫紅色色素を産生し,後者は色素を失った.従来よりT.violaceumとT.glabrumの鑑別点として色素産生の有無が最重要視されているが,培地成分の差によりT.violaceumの色素産生に違いがみられたことは,両菌を同一菌種とする見解を示唆する所見と思われる.また,自験例は高齢女子で,臨床的にも病理組織学的にも屈曲した病毛が認められた.Black dot ringworm に病毛の屈曲が生じやすいこと,T.violaceumによる頭部白癬が高齢女子に発生しやすいことなどについても併せて考察した.
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