連載 皮膚病理の電顕・28
付属器腫瘍(XVII)—毛鞘嚢腫(6)
橋本 健
1
Ken Hashimoto
1
1Department of Dermatology, Wayne State University School of Medicine
pp.946-950
発行日 1983年10月1日
Published Date 1983/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412202931
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図69A外毛根鞘峡部の角化の電顕的特徴のすべてが毛鞘嚢腫に当てはまるわけではないが,その大部分が観察できる.即ち,多数の空胞を含む不完全な角化細胞が,不規則な突起或は嵌合により接着されている模様は既に弱拡大の写真(図66)で明瞭である.本図では不完全に角化した細胞(H)の中に大きな空胞が多数あり,その中に変性した層板状構造(1,2)がみられる.これらは図69Bでそれぞれ拡大して示す.更にこの細胞の中には多数の電子密なリゾゾーム様構造が含まれている(*).この細胞はその下に位置する細胞(G)に比較して線維束の大きさや電子密度が増加しているが,表皮でいえば顆粒層か,有棘層上層の細胞程度の分化しか示さず,かつケラトヒアリン,周辺帯の形成が全然みられない.
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