連載 皮膚病理の電顕・15
付属器腫瘍(Ⅳ)—汗管腫(2)
橋本 健
1
Ken Hashimoto
1
1Department of Dermatology, Wayne State University School of Medicine
pp.908-913
発行日 1982年9月1日
Published Date 1982/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412202710
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図39汗管腫.管腔に沿った壁細胞の一部を強拡大で示した.読者は次の微細構造を識別するのに困難を感じないと思う.すなわち核(N),リゾゾーム(Ly),管腔周囲の張原線維束(T),デスモゾーム(矢尻),管腔へ突出する多数の短い微絨毛(v),および多数の糖原顆粒(g)などである.糖原顆粒はリボゾームに大きさや電子密度が似ているのでロゼット状をなすか,または多量に集積している場合(図38参照)を除いて鑑別しにくい.リゾゾームは周囲を膜で限界された中に多数の小胞を入れ,更に電子密度の高い均一性の物質も含んでいる.この型のものを多胞性電子密小体(multivesicular dense body)と呼ぶ.最も普通の型であり,酸性フォスファターゼをはじめ多くの水解酵素や蛋白分解酵素を含有している.リゾゾーム内の小胞と管腔内のそれらが非常に似ており,更に他の成分も管腔内にあるものと似ているので(*),前者が管腔内へ排出されて後者の一部となる可能性を考えさせる.×58,500
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