連載 皮膚病理の電顕・27
付属器腫瘍(XVI)—毛鞘嚢腫(5)
橋本 健
1
Ken Hashimoto
1
1Department of Dermatology, Wayne State University School of Medicine
pp.836-840
発行日 1983年9月1日
Published Date 1983/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412202913
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図67毛鞘嚢腫(trichilemmal cyst)が果して外毛根鞘の峡部より発生,またはそれに向った分化を示す腫瘍であるかは,前回までの記述で完全に納得できたとは考えられない.両者の角化機転が電顕のレベルで似ていることを示す必要があり,以下この点に触れる.本図AとBでヒトの外毛根鞘峡部の角化を示し,図68AとBで峡部より少し下部で内毛根鞘が未だ脱落しない部分を示すことにする.
図67Aでは非常に薄い2,3層の角質層(H)に分化したヒトの外毛根鞘峡部がみられる.この部分の角化に特異的な所見として,ケラトヒアリン顆粒の産生不全,多房性のセメントゾーム(*)の産生,糖原顆粒(g)の存在などがみられる.セメントゾームのあるものは典型的な層板構造を含む(矢尻)が,他のものは多房性或は電子密な物質を含むのみで層板構造は著明ではない.これらはむしろリゾゾームに類似する.
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