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日本医学会の分科会として第82回日本皮膚科学会総会・学術大会が大阪大学教授佐野会頭のもとで,本年4月3日(日),4日(月),5日(火)の3日間にわたって開催された.特別講演2(国際交換講座を含む),シンポジウム2,教育講演10,クリニカルカンファランス2が企画されたほか,一般演題,学術展示,EnglishSpeaking Sessionをあわせ300以上の演題発表が行なわれた.大阪商工会議所7階の国際会議ホールを中心に5つの会場に分かれての学術大会であったが,全ての会場が同一ビル内にあり,各会場への移動は比較的容易でありたように思われる.
国際皮膚科学交換講座の講演者Klaus Wolff教授はウィーン大学第1皮膚科主任教授として,臨床研究および基礎研究の分野で精力的に活躍されている方で,今回は最近話題のLangerhans細胞について講演された,1960年代から現在までプロジェクトを組んで研究を続けられており,Langerhans細胞の特微を形態学的な面と機能的な面から述べられるとともに,ETAF (epidermal cell—derived thymocyte activating factor),表皮細胞層内にみられたIa (+),Ly 5(+)が別個に標識される細胞が存在することを示された.これらはいずれもLangerhans細胞の働きを解明する上に重要なもので,本年度のヨーロッパ・アメリカ合同皮膚科研究学会(ワシントンで開催)でも話題の1つであった.Wolff教授はゆっくりと明瞭な英語で話され,口演内容も別冊で用意されていたため理解し易かった.Wolff教授は学会終了後,札幌にも立ち寄られ,学生を対象に講義をされたが,いくつかの質問に対し懇切ていねいに答えるなど非常に誠実味を感じさせるお人柄のようであった.同行されたWolff夫人もウィーン大学皮膚科で準教授として活躍されている方で,本学会においても,稀な遺伝性角化症の症例を供覧されたが,用意した口演原稿をゆっくりした英語で読まれていた.
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