連載 皮膚病理の電顕・22
付属器腫瘍(XI)—石灰化上皮腫(2)
橋本 健
1
Ken Hashimoto
1
1Department of Dermatology, Wayne State University School of Medicine
pp.398-400
発行日 1983年4月1日
Published Date 1983/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412202833
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図58角化が更に進行し,好塩基性細胞の核が崩壊し形骸細胞となると,核の占めた細胞の中心部(N)が抜けた状態となる.ほぼ円形の細胞の輪郭が想像できる.これらの細胞の周囲には間質の膠原(C)が侵入しているが,細胞質の中にはほとんどみられない.×5,750
図59以上の記述から,本腫瘍が組織化されて排列する線維束を含み(複屈折),SH,S-S基を含み,かつ電顕的には毛皮質細胞の角化様式に従って角化を行うということが確認された.勿論,少数ではあるが毛包の他の細胞に類似の角化様式を示す腫瘍細胞も混在する.例えば毛小皮は小さいケラトヒアリン顆粒の凝集を伴う角化を示すし,内毛根鞘の細胞は巨大なケラトヒアリン顆粒を産生し乍ら角化するので1),その区別は容易である.
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