Japanese
English
原著
Apocrine Cystadenomaの1例
A Case of Apocrine Cystadenoma
斎田 俊明
1
,
土屋 真一
2
Toshiaki SAIDA
1
,
Shinichi TSUCHIYA
2
1東京大学医学部附属病院分院皮膚科
2埼玉県立がんセンター病理部
1Department of Dermatology, University of Tokyo Branch Hospital
2Department of Pathology, Saitama Cancer Center
pp.689-693
発行日 1982年7月1日
Published Date 1982/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412202672
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40歳男の左下眼瞼内側部に約10年前,小結節が生じ,徐々に増大してきて淡紅黄色の大豆大結節となった.組織学的には,ほぼ典型的なapocrine cystadenoma(AC)であった.この腫瘍を酵素組織化学的に検索したところ,嚢腫壁内腔側の胞体豊富な細胞はacid phosphatase活性強陽性,β-glucuronidase活性強陽性,indoxyl esterase活性中等度陽性で,succinic dehydrogenase,phosphorylase,leucine aminopeptidaseの各活性はいずれも陰性であった.この反応パターンは正常apocrine汗器官の分泌腺細胞のそれに一致するものである.また嚢腫壁基底側の扁平な細胞はalkaline phosphatase活性陽性であって,これは筋上皮細胞であると考えられた.
ACについて内外の文献例を検討し,その分布,色調の変化等につき考察を加えた.また眼科領域で"retention cyst of the gland of Moll"と診断されている眼瞼縁の嚢腫とACとの異同について考察し,両者は本質的には同一の腫瘍と考えられる旨を述べた.
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