これすぽんでんす
りぷらい
折原 俊夫
1
1群馬大学
pp.891
発行日 1978年10月1日
Published Date 1978/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412201971
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自験例がSLEを合併したものであるか否かについて,五十嵐氏は,合併の可能性はあるとしながらも自験例がSenear-Usher症候群だけで説明しうるのではないかという疑問を提起された.また自験例における免疫組織学的所見が,LEと同様の機序によるのではなく,天疱瘡抗体の過剰により,基底膜部に免疫グロブリン沈着をきたしたのではないかと推定された.確かに氏のそうした見解も否定はできないが,Senear-Usher症候群で抗核抗体やLE細胞が比較的多く認められることより,本症候群の免疫組織学的所見が単に天疱瘡抗体の過剰と蓄積によるものではなく,より広い免疫学的異常の上に立脚していることを示唆していると考えられる.確かに自験例では,腎炎や漿膜炎はなく,ウィルス様封入体がみつからず,また氏が指摘されたように,SLEとして定型例とはいえないが,一方SLE患者でも時期によっては必ずしもすべての所見を満たしているわけではない.それはともかくとして,今後腎生検や,ウィルス様封入体の有無の再検討などを,機会をみて行いたい.なお,脱毛および手掌などに生じた紅斑については,臨床的にNikolsky現象によるものとは考えにくく,また本例で最近軽度貧血(Hb 10〜11g/dl)が出現し,膠原病としての性格が強くなったことを追記したい.
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