Japanese
English
原著
ペラグラの1例
A Case of Pellagra
吉井 恵子
1
,
田代 正昭
1
,
下稲葉 耕作
2
Keiko YOSHII
1
,
Masaaki TASHIRO
1
,
Kosaku SHIMOINABA
2
1鹿児島大学医学部皮膚科学教室
2下稲葉病院
1Department of Dermatology, Faculty of Medicine Kagoshima University
2Shimoinaba Hospital
pp.855-859
発行日 1978年10月1日
Published Date 1978/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412201964
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53歳,女性のペラグラの症例を報告した.患者は行き倒れの状態で発見され,初診時,足背,下腿,手背,前胸部を中心に紫褐色調を滞びる紅斑をみとめ,下腿においては水疱,糜爛,潰瘍を混じる.眼瞼炎,口角炎,舌肥大の他,頻回の下痢がみられ,抑うつ状態にあった.臨床検査所見においては貧血,赤沈値亢進および血清蛋白低下の他には著変なく,皮膚の病理組織検査にては角質増殖を伴なう表皮肥厚,真反上層の浮腫と基底層および真皮上層のメラニン沈着がみとめられた.Nicotinamideを含むVitamin B complexを中心とする薬剤投与と病院食の全量摂取にて経過をみたところ,紅斑および潰瘍は色素沈着およびわずかに瘢痕を残して6週後には治癒し,下痢,抑うつ状態も消失した.
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