Japanese
English
原著
黒色棘細胞症と胃・十二指腸病変—臨床疫学的アプローチ
ACANTHOSIS NIGRICANS AND GASTRODUODENAL DISORDERS : CLINICO-EPIDEMIOLOGIC APPROACH
筏 淳二
1
Junji IKADA
1
1京都府立医科大学皮膚科学教室
1Department of Dcrmatology, Kyoto Prefectural University of Medicine
pp.505-509
発行日 1975年6月1日
Published Date 1975/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412201448
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日本病理剖検輯報から黒色棘細胞症を伴う悪性腫瘍を選び出し,そのうち胃癌随伴例の性状を臨床疫学的に検討した.随伴腫瘍の90.5%は胃癌であつた.胃癌随伴例の死亡年齢は若年に偏り,その分布図は波型を呈した.さらに50歳以後の死亡例は男に著しく偏つた.これらの特異点は本邦良性型の性・年齢分布によく類似した.そこで疫学像の類似と腫瘍随伴症候についての著者の考えに基づき,悪性型と良性型は同一機序により発症すると想定した.文献的にも良性型と胃以外の腫瘍を伴う悪性型とは良性胃・十二指腸病変をときに合併することを知つた.以上のことから癌に限定されない胃・十二指腸病変が本症の発症に重要な役割を演ずると考えた.さらに本症では胃病変が悪性化したと考えられる例が多いことを知つた.そして発癌年齢や悪性転換の可能性に関して本症と疣贅様表皮発育異常症とが類似することを指摘した.
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