Japanese
English
原著
糖尿病の皮膚病変—1.その臨床統計を中心に
SKIN MANIFESTATIONS OF DIABETES MELLITUS 1. STATISTICAL INVESTIGATION
北村 啓次郎
1
Keijiro KITAMURA
1
1慶応義塾大学医学部皮膚科教室
1Department of Dermatology, Keio University School of Medicine
pp.483-490
発行日 1975年6月1日
Published Date 1975/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412201444
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
要約 東京都済生会中央病院内科入院中の糖尿病患者271例と,正常ドック入院患者86例にみられた皮膚疾患を比較検討し,次の如き成績を得た.糖尿病者にみられた皮膚疾患は従来の文献と同様で,湿疹皮膚炎,皮膚瘙痒症,血管異常症,感染症,眼瞼黄色腫,発汗異常症の頻発をみとめた.皮膚瘙痒症では女性の外陰瘙痒症,真菌症では白癬以外のものが,また細菌感染症は女性に頻発した.眼瞼黄色腫,口角炎は糖尿病群のみに認められた.また膝,肘,足背,足底(踵)の角化肥厚傾向が,0.01以下の危険率で女性例に頻発した.糖尿病の直接Dermadromeは,下腿潰瘍と下腿の褐色萎縮斑をのぞき全くみられなかつた.従つてありふれた皮膚疾患,即ち間接Dermadromeにこそ糖尿病発見の糸口があると思われた.また,糖尿病群では1人の患者に多種類の皮膚疾患のみられる傾向があり,正常人でも,数多くの皮膚疾患を併発している場合には,糖尿病の潜在も考慮する必要がある.
Copyright © 1975, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.