Japanese
English
原著
眼瞼色素沈着症
PALPEBRAL HYPERPIGMENTATION
井上 勝平
1
,
桑原 宏始
1
,
小野 友道
1
,
緒方 明詔
1
,
永広 雄一
1
Shohei INOUE
1
,
Hiroshi KUWAHARA
1
,
Tomomichi ONO
1
,
Akinori OGATA
1
,
Yuichi NAGAHIRO
1
1熊本大学皮膚科教室
1Department of Dermatology. Kumamoto University Medical School
pp.461-466
発行日 1975年6月1日
Published Date 1975/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412201441
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眼瞼色素沈着症の9症例(男1例,女8例)を報告した.
初診時年齢は38歳より70歳,平均53.7歳である.初発年齢は明確ではないが,20歳台までに目立つて来たと陳述したものが5例ある.6例に家族内発生を認めた.局所合併症として,眼瞼黄色腫4例,老人性面疱1例,全身性疾患として糖尿病2例,慢性肝炎,高血圧,高脂血症各1例がある.組織学的にみて色素沈着の主体は表皮基底層のメラニン顆粒の増加と真皮上層melanophageの出現による.
本症はclinical entityと見做すことが出来るが,その発症病理は単一ではない.大きく遺伝説(常染色体性優性遺伝)と全身疾患影響説(泌尿生殖器疾患,肝疾患など)に分けられる.自験例で局所因子が重視されている正脂症性の眼瞼黄色腫などの合併が多かつたことから,眼瞼皮膚全体の脆弱性が発症基盤にあるものと推測したい.
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