Japanese
English
綜説
皮脂の生化学
BIOCHEMISTRY OF SEBUM
猪股 成美
1
Noriyoshi INOMATA
1
1新潟大学医学部皮膚科学教室
1Department of Dermatology, Niigata University School of Medicine
pp.349-357
発行日 1975年5月1日
Published Date 1975/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412201424
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脂腺細胞で生合成され,排泄される脂質を皮脂という.しかし脂腺は全分泌腺であるため,脂質を合成する細胞そのものも自壊排泄される.したがつて種々の細胞成分脂質が混入する.新生皮脂は脂腺導管,毛包漏斗部を通過して皮表へ出るが,その過程でリパーゼの作用を受けて組成に変化が生ずる.また脂腺経由で排出される物質も皮脂に混入することは当然のことと考えられる(塩化ビフェニールなど).
このように複雑な諸因子が介在するなかで,新生皮脂のみを純粋に抽出し,その組成,構造を化学的に決定し,生合成を追求することは極めて困難である.そのため皮脂の研究には,皮表脂質,皮脂様脂質(胎脂vernix caseosa,毛嚢嚢腫などの脂質)あるいは表皮,角質脂質などが対象とされ,比較検討のうえ組成,構造,生合成経路が推定されてきた.
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