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連載 皮膚科学に貢献した医学者たち・19
外陰クラウロージス(その1)
Kraurosis vulvae
高橋 吉定
pp.64-69
発行日 1975年1月1日
Published Date 1975/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412201386
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1.はじめに
"クラウロージス"とかな書きだけにすると,何のことか初めは戸惑いするかもしれないが,これは"kraurosis"のことであり,この語の和訳についていささか考えてみたいのである.
現行の本邦皮膚科学教科書には,いずれもkraurosisは"萎縮症"と訳されているが,萎縮ないし萎縮症を表わす一般的な用語"atrophia"とは意味を異にするのである.もつとも多く使われるKraurosis vulvaeは,なるほど一種の萎縮症ではあるが,この萎縮はたいてい白斑を随伴し,さらに重要なのは硬化を生ずることであり,ついには特徴的な収縮を起こす一つの症候群である.これを皮膚科的には単なる萎縮症である,たとえば"老人性萎縮(Atro—phia senilis)"と比較するならば,その差異はおのずから明らかである.
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