薬剤
尿素含有外用剤の諸角化異常症に対する臨床効果の検討(第1報)
西脇 宗一
1
,
岡部 省吾
1
,
安西 喬
2
,
富沢 尊義
2
,
山口 淳子
2
,
籏野 倫
3
,
長島 正治
3
,
原田 敬之
3
,
橋本 謙
4
,
矢代 昭夫
4
,
山崎 律子
4
,
未次 敏之
4
,
渡辺 靖
5
,
永島 敬士
5
,
安田 利顕
6
,
石原 勝
6
,
堀口 峯生
6
,
笹川 正二
7
,
神田 行雄
7
,
新谷 堯
7
,
浦野 和民
7
,
武田 克之
8
,
松房 孝憲
8
,
藤田 知道
8
,
北郷 修
9
,
神保 有光
9
,
本田 光芳
10
,
湖山 里美
10
,
岩崎 隆
10
1関東中央病院
2関東労災病院
3慶応義塾大学
4昭和大学
5中央鉄道病院
6東邦大学
7東京慈恵会医科大学
8徳島大学
9都立駒込病院
10日本医科大学第二病院
pp.55-63
発行日 1975年1月1日
Published Date 1975/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412201385
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尿素含有外用剤の概要
すでに,紀元前800年頃からバビロニア人により,尿が治療薬として応用されていたという記載1)があるといわれ,その後,その有効成分は尿素であろうと考えられるようになつた.しかし,尿素の局所効果が検討されたのは比較的近年のことで,本邦においては,木本ら2-3)その他が化膿性乳腺炎,癤などの膿汁溶解剤としての効果を認めたのが端緒と思われる.皮膚科領城においては一部の医師が,尿素の効用に興味を持ち,外用剤を調製して使用したこともあるといわれるが,一般に汎くは採り上げられなかつた.しかるに,1968年,スウェーデンのSwanbeck4)が,尿素外用剤の魚鱗癬その他の角化異常症に対する局所臨床効果を報じて注目を浴び,欧米においては既に本剤が魚鱗癬,乾皮症,掌蹠の角化症などの治療薬として,広く応用されているといわれる.
尿素の作用機序としては,壊死蛋白の溶解作用1)2)3)の他に角質内水分保有能効果4)が挙げられている.なお,角質の水分保持能にあずかる化学的成分については,これまでかなり多くの検討が行なわれてきたが,特に水溶性のアミノ酸やポリペプタイド,尿素,乳酸塩,ヘキソサミン,ペントースなどが重視されている5).従つて,尿素を皮膚に外用した場合,皮膚表面の壊死蛋白を溶解し,あるいは更に角層の水分保有能を高めるとすれば,諸種の角化異常症が尿素含有外用剤の適応となる可能性が考えられる.
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