Japanese
English
原著
先天性魚鱗癬の兄弟例—剖検例,特に胸腺,脾臓,リンパ腺の変化について
TWO BROTHER'S CASES OF ICHTHYOSIS CONGENITA FOETALIS:POSTMORTEM EXAMINATION, ESPECIALLY ABOUT THYMUS, SPLEEN AND LYMPH NODE
渡辺 進
1
,
渡辺 悟
1
Susumu WATANABE
1
,
Satoru WATANABE
1
1倉敷中央病院皮膚科
1Department of Dermatology, Kurashiki Central Hospital
pp.525-530
発行日 1974年7月1日
Published Date 1974/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412201328
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先天性魚鱗癬の兄弟例を報告した.両親及び家系に血族結婚はみられない.兄は生後22日目に急性肺炎で死亡し,弟は生後4日目に未熟児及び羊水嚥下性肺炎で死亡した.剖検で興味ある所見は兄では胸腺に強度の退縮,脾臓,腸間膜リンパ腺の胸腺支配域にリンパ球の減少,弟では胸腺にStarry sky様の退縮がみられたが兄の例ほど変化は強くなく,脾臓,腸間膜リンパ腺に所見はみられなかつた.これらの所見より兄の例では胸腺退縮の結果,胸腺ホルモン等の分泌が障害されその影響が胸腺のみならず脾臓,リンパ腺にも及んだが弟の例では生後4日目に死亡したこともあつて変化が胸腺にのみとどまつたものと推察した.先天性魚鱗癬に於いては感染等の他に皮膚の病変それ自体がStressとなり胸腺に変化を及ぼしてくることも考えられる.
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