原著
Clear cell hidroadenomaの1例
吉井 田美子
1
Tamiko YOSHII
1
1東京逓信病院皮膚科
1Department of Dermatology, Tokyo Teishin Hospital
pp.365-371
発行日 1974年5月1日
Published Date 1974/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412201298
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33歳,家婦の頭頂部に小豆大,表面やや凹凸ののある腫瘤を生じ,自覚症状はなよい.組織学的に,真皮上層から中層に,周囲の組織とは明らかに境された腫瘍塊を認める.
腫瘍実質は結合織によつて小葉に分けられる.腫瘍細胞は単一ではなく,索状〜石垣状に配列する立方形または紡錘形の上皮細胞様細胞と,細胞質の明るいClear cell,及びその移行形からなる.これらの細胞はPAS陽性・ジアスターゼ消化性の顆粒を豊富に持つ.一部小葉では,円柱状の細胞にかこまれた管腔形成を認め,好酸性,PAS陽性,ジアスターゼ抵抗性の管腔内容を持つ.
腫瘍組織は,毛嚢漏斗部で,表皮細胞と連続性が認められるが,両者ははつきり区別出来る.以上の組織像より,本腫瘍はいわゆるClear cell hidroadenomaに一致するものと考え,本症の臨床像組織学的所見,鑑別診断などについて文献的考察を行なよつた.
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