〈原著論文抄録〉
先天性皮膚欠損を伴つた表皮水疱症の1例,他
吉永 和恵
1
,
青木 寛
2
1日本大学医学部皮膚科教室
2都立豊島病院皮膚科
pp.763
発行日 1972年8月1日
Published Date 1972/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412201033
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患者は生後2日,男子.生下時体重3020g.満期安産であり,妊娠期間中及およ分娩時異常を認めず.WaR陰性.出生時すでに右下腿から足にかけて皮膚欠損があつた.衣類がさわると痛がりその為か外反足様変位を呈する.初診時所見,右膝蓋ほぼ全面から下腿伸側次で足背にかけて帯状に走る境界明確な潰瘍を示す.舌背と歯肉の一部に糜爛を形成す.レントゲン所見で下腿脛骨長は患側が短い.臨床経過,生後33日目にほぼ上皮形成は完了したが,日を追つて機械的圧迫の加わる部に水疱や糜爛の形成が明らかとなつてきた.生後20日頃から両手,足の爪甲が白濁,肥厚してきた.270日目来院時は殆んど瘢痕を残さず治癒し,下肢骨長に有位の差がなく,爪の異常と新たに指趾背面に稗粒腫および疣贅様丘疹が出現した.家系内に4代に亘り,爪の変形,水疱形成,皮膚欠損等がかなりの頻度に認められたことから優性栄養障害型表皮水疱症の一型と考え,文献的に考察した.
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