〈原著論文抄録〉
悪性腫瘍に随伴した紅皮症の2例,他
宮沢 偵二
1
,
熊坂 鉄郎
1
1仙台逓信病院皮膚科
pp.1373,1375
発行日 1969年12月1日
Published Date 1969/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412200595
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最近われわれは相ついで悪性腫瘍に随伴した紅皮症の2例を経験した。第1例は亜急性骨髄芽球性白血病,第2例は細網肉腫症である。第1例は形態学的血液検査のみによつて診断した。骨髄性白血病に紅皮症が併発することは稀である。両例ともステロイドおよび制癌剤によつて皮疹および原発疾患はともに軽快したが,その後いづれも鬼籍に入つた。第1例において皮疹軽快時,粟粒大紅色丘疹が観察された。
紅皮症は一種の皮膚反応であり,急性および慢性紅皮症に分類されるのが妥当である。慢性紅皮症には湿疹,乾癬等に続発して発生するもの,悪性腫瘍に随伴してくるもの等が含まれる。原因不明の慢性紅皮症の中には本症例のごとく悪性腫瘍に随伴することが検査により判明され,このような紅皮症は現在考えられているより,その発生頻度は多いのではないかと考える。
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