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検査法
皮膚真菌症の検査法—鏡検によつて菌を証明する手技,要領について
DIRECT MICROSCOPIC EXAMINATIONS OF FUNGI IN VARIOUS FUNGOUS DISEASES OF SKIN
高橋 伸也
1
Shinya TAKAHASHI
1
1東北大学医学部皮膚科教室
1Department of Dermatology, Tohoku University School of Medicine
pp.55-69
発行日 1967年1月1日
Published Date 1967/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412200081
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Ⅰ.皮膚真菌症診断における菌検査の必要性
一般に皮膚真菌症の診断にあたつては,病的材料について菌検査を行ない菌の有無を検査することが要求される。本邦における皮膚真菌症には,発生頻度の高い白癬,カンジダ症,癜風や,それほど発生頻度は高くないがしばしばその症例が報告されているクロモブラストミコーシス,スポロトリクム症,放線菌症,足菌腫がある。また医真菌学の発展,普及にともなつてクリプトコックス症,ムコール症,その他2,3の稀有な疾患も最近報告されている。これら疾患個々の臨床形態ははなはだ多種多様であつて,典型的な場合を除いては,臨床所見のみから間違いない診断を下すことの困難な場合が少なくない。その所見から明らかに真菌症が考えられる症例において,菌検査の結果そうでなかつたということや,またその逆の場合がしばしば経験されるのである。高頻度にみられる皮膚真菌症の臨床を,あまりにも抽象的に理解,把握し,その概念をもつて臨床診断することは誤診をまねく結果ともなる。また菌検査の必要性を軽視することは,より多く発見さるべき皮膚真菌症を見逃す原因ともなろう。誤診を避け,看過されている症例を発見するために,また正しい診断のもとに適正な治療を行なうためにも,皮膚真菌症における菌検査の必要性を十分に認識し,その手技に習熟して欲しいものである。
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