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文献紹介 デスモグレイン1欠損が重症皮膚炎,多数の抗原に対するアレルギー,消耗性代謝異常を引き起こす
古市 祐樹
1
1慶應義塾大学
pp.519
発行日 2014年6月1日
Published Date 2014/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412104063
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アレルギー性疾患において,免疫学的異常と上皮のバリア機能不全がどのようにして発症に関与するかについては,現在でも議論が交わされている.この論文では,重症皮膚炎,多数の抗原に対するアレルギー,消耗性代謝異常を3主徴とするSAM(severe dermatitis, multiple allergies and metabolic wasting)症候群について述べられている.SAM症候群は,デスモゾームを構成する接着分子の1つであるデスモグレイン1をコードする遺伝子(DSG1)の変異によって生じる遺伝子疾患である.DSG1の変異によって,細胞膜上にデスモグレイン1が発現されないことで,表皮細胞間接着が障害されるとともに表皮バリア機能の異常が引き起こされることが示された.さらに,デスモグレイン1蛋白の欠乏は,アレルギーに関連するさまざまなサイトカインをコードする遺伝子の発現を促進することが示された.このように,著者らが考えるSAM症候群の発症機序は,アレルギーの獲得が表皮構造の破綻の結果として生じる可能性を実証するものとして非常に興味深い.
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