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文献紹介 汗に分泌される真菌由来の蛋白MGL_1304はアトピー性皮膚炎患者のアレルゲンとなる
福山 雅大
1
1慶應義塾大学
pp.514
発行日 2014年6月1日
Published Date 2014/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412104062
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アトピー性皮膚炎患者には数々の増悪因子が存在するが,汗のたまりやすい部位に湿疹を起こしやすいことなどから,汗は特に重要な増悪因子として認識されてきた.著者らは以前,汗によって好塩基球からのヒスタミン遊離が促進することを証明したが,具体的にどの物質がアレルゲンとなってアトピー性皮膚炎が増悪するかは不明だった.今回の研究で,ヒスタミン遊離活性を指標にヒトの汗から精製された成分が,Malassezia属真菌の一種であるM. globosaが産生する蛋白質MGL_1304の一部と同一のアミノ酸配列を持つことが示された.
まず著者らは精製したヒトの汗を使用し,質量分光分析でアトピー性皮膚炎患者の好塩基球のヒスタミン遊離活性を持つアミノ酸配列の決定を行い,M. globosaが産生するMGL_1304に含まれる配列と同一であることを確認した.精製した組み換えMGL_1304は,アトピー性皮膚炎患者の血清IgEと結合し,好塩基球のヒスタミン遊離を促進することから,これまで汗アレルゲンとして想定されていた物質であることが示された.またMGL_1304は,ヒト肥満細胞株から脱顆粒を起こすとともに,アトピー性皮膚炎患者の好塩基球からIL-4の産生を引き起こすことも明らかとなった.最後に,M. globosaが分泌するMGL_1304は,翻訳後修飾された29kDaの蛋白となり,さらに小さなフラグメントとなって汗の中に分泌されることが,ヒスタミン遊離活性試験で示された.
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