Japanese
English
症例報告
頻回の局所注射によって生じたpanniculitis ossificansの1例
A case of repeated injection-induced panniculitis ossificans
溝口 奈穂
1
,
亀井 利沙
1
,
中井 大介
1
,
松本 考平
1
,
池上 隆太
1
Naho MIZOGUCHI
1
,
Risa KAMEI
1
,
Daisuke NAKAI
1
,
Kohei MATSUMOTO
1
,
Ryuta IKEGAMI
1
1大阪厚生年金病院皮膚科
1Division of Dermatology, Osaka Kouseinenkin Hospital, Osaka, Japan
キーワード:
panniculitis ossificans
,
化骨性脂肪織炎
,
注射
Keyword:
panniculitis ossificans
,
化骨性脂肪織炎
,
注射
pp.141-144
発行日 2014年2月1日
Published Date 2014/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412103891
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要約 73歳,女性.第2腰椎圧迫骨折による左臀部の疼痛に対し,半年間で計136回のトリガーポイント注射を受けた.注射開始4か月後より左臀部に小指頭大の硬い皮下結節を自覚し,徐々に増大した.病理組織学的に,皮下脂肪織内に線維性結合組織に被包された腫瘤を認めた.内部に変性,壊死した脂肪組織が蜂巣状構造を成し,石灰化を伴っていた.腫瘤内の辺縁部には,線維性結合組織と連続して層板状の骨組織を認めた.以上よりpanniculitis ossificansと診断し,頻回の局所注射が原因と考えた.また,注射に含まれていた臭化カルシウムが石灰化の誘導に関与した可能性があると考えた.Panniculitis ossificansは,外傷により皮下脂肪織に異形成性骨化をきたす疾患だが,注射が原因となった報告は自験例が初めてである.患者が記憶しないほどの軽微な打撲や小外傷でも生じうる.したがって,外傷歴だけでなく,注射の有無,趣味や生活スタイルなどを含めた幅広い問診が必要である.
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