Japanese
English
症例報告
軟部組織炎が多発した劇症型溶血性連鎖球菌感染症の1例
A case of streptococcal toxic shock-like syndrome with multiple soft tissue inflammation
戸田 和美
1
,
藤井 紀和
1
,
寺村 和也
1
,
加藤 威
1
,
中西 元
1
,
田中 俊宏
1
,
松村 一弘
2
Nagomi TODA
1
,
Norikazu FUJII
1
,
Kazuya TERAMURA
1
,
Takeshi KATO
1
,
Gen NAKANISHI
1
,
Toshihiro TANAKA
1
,
Kazuhiro MATSUMURA
2
1滋賀医科大学皮膚科
2滋賀医科大学救急集中治療医学講座
1Department of Dermatology, Shiga University of Medical Science, Otsu, Japan
2Department of Critical and Intensive Medicine, Shiga University of Medical Science, Otsu, Japan
キーワード:
劇症型溶血性連鎖球菌感染症
,
streptococcal toxic shock-like syndrome
,
壊死性筋膜炎
,
多発軟部組織炎
,
中耳炎
Keyword:
劇症型溶血性連鎖球菌感染症
,
streptococcal toxic shock-like syndrome
,
壊死性筋膜炎
,
多発軟部組織炎
,
中耳炎
pp.891-896
発行日 2013年10月1日
Published Date 2013/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412103792
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
要約 30歳台,女性,基礎疾患なし.近医で中耳炎の治療を受けた3週間後,左上肢と左下肢に非常に強い痛みが出現したため,救急要請し,受診した.初診時,体温37.8℃,左手掌と左足背に発赤,腫脹,疼痛,熱感を認めた.左上肢,左下肢の蜂窩織炎と診断し,入院の上,抗菌薬の投与を開始した.第3病日に血圧低下,播種性血管内凝固症候群を認め,左足に水疱,紫斑が出現した.また左手掌と右足背に発赤,腫脹を認めた.血液検査でCPKが2,207IU/lに上昇したため,左足の壊死性筋膜炎と診断し,直ちにデブリードマン術を施行した.血液培養と左足の組織からA群溶血性連鎖球菌が検出され,劇症型溶血性連鎖球菌感染症と診断した.左手掌と右足背は皮下膿瘍を形成していたため切開排膿した.救命,患肢温存のためにはデブリードマンの機を逃さないことが重要である.また,過去5年間の症例をまとめた結果,軟部組織炎を多発していることは必ずしも予後不良の徴候ではないことが示唆された.
Copyright © 2013, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.