Derm.2013
死ぬまで治らない病気
松﨑 康司
1
1弘前大学医学部皮膚科
pp.112
発行日 2013年4月10日
Published Date 2013/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412103651
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最近の生物学的製剤の効果には目を見張るものがあります.皮膚科領域では,乾癬に対する3種類の製剤が使用可能で,その効果,切れの良さに驚いた先生も多いのではないでしょうか.投薬前に結核,肝炎,脱髄疾患,悪性腫瘍についての詳細の問診と,パンフレットを使用した説明など多忙な外来業務において足枷となる部分もありますが,実際使用してみると,今までのどの治療よりも効果的なのは一目瞭然です.また,患者さんの喜んだ笑顔がみられるのもうれしいものです.
「最近,調子はどうですか?」「何も変わんねーじゃ(津軽弁).これ,死ぬまで治んねーんだろ?」と高齢の乾癬患者さんに幾度となく言われた言葉です.そのたびに,「うーん,そーですね…,うーん,でも外用しないともっと悪くなりますよ」と否定も肯定もできず返事に困ること多々でした.身体的および精神的QOLが高血圧,糖尿病よりも悪いという報告をよく聞きます.多くの疾患は一生付き合わなければならないものですが,皮膚特有の目に見える臓器ゆえに,毎日毎日軟膏塗っても,あまり変わらないという無力感が「死ぬまで治らない」というネガティブな言葉を言わせているかもしれません.
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