連載 死と看護・5
‘治る’ということ
河野 博臣
1
1河野胃腸科・外科医院
pp.634-638
発行日 1973年5月1日
Published Date 1973/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916653
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‘治る’のか‘治す’のか
死の床にある患者を治すことが,いったいできるのか.治りもしない患者に忙しい時間をさいて,無意味と思えるような治療をすることに,何か意味があるのか.からだのどこかに痛みがあれば,その訴えに対しての処置だけをすればいいのではないか.とてもそれ以上のことはできそうにもない.治りそうもない人の所に行くことだって,なんだか気の毒で長い時間いてあげることもできなくて,薬をあげると逃げるようにしてその部屋から離れて来るのですが,どうしようもないんじゃないんですか.
このような素朴な疑問は,医師にかぎらず,看護婦やその他の医療従事者が,死の床に横たわっている患者に接したときに感ずることであると思います.
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