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皮膚科医になりたての頃は毎日新しく覚えることの連続で,それで精一杯かもしれないが,4~5年も経過し,ある程度の皮膚科の知識や経験が身につくと,日頃の診療にややマンネリズムを感じることもあるあろう.そんなときは,何か(臨床)研究をするのも一手である.研究というと,構えてしまう人もいるが,まずは何か疾患(最初は,やや稀だが,時々来る疾患くらいが良いか)を集めてみるだけでも良い.思いつかなければ,上の先生に選んでもらっても良い.その疾患に関して何をやるのか,最初に決められれば,それに越したことはないが,集めながら勉強していっても,何かしらの成果(すなわち論文とし発表できる何か)は案外出るものである.このように,目的を持ってある疾患を集めるだけでも,日々の診療にも濃淡がつき,メリハリのある診療に変わっていくものである.途中で興味ある症例があれば,症例報告しても構わないし,ある程度集まったら,早めにデータをまとめ,発表,論文にすることである.論文を完成させれば,より達成感も得られ,充実した診療をした証にもなる.そうしているうちに,その疾患に対してはセミエキスパートくらいにはなるであろうし,そうなると,もうちょっとやろうという気持ちにもなってくる.その後,その疾患に関してさらに発展させるのが理想であろうが,いろいろ楽しみたいなら,他の疾患を集めても良い.私も振り返ってみると,今日までいろいろな疾患を集めてきたが,そのようなことが,幸い興味を絶やすことなく日々の診療に携わってこられた原動力になってきたように思われる.そのようなことをしなければ,日々の診療風景は少し味気のないものになっていたであろう.集めたい疾患はまだたくさんあるが,今後も可能な範囲で続けたい.
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