Derm.2012
はじめての一人旅
中島 喜美子
1
1高知大医学部皮膚科学教室
pp.139
発行日 2012年4月10日
Published Date 2012/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412103293
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その年は論文のreviseの実験に大半の時間を費やし過ごしていた.外来診察を終えるとマウスの所へ直行.この生活を続けていたらいつか折れるかもしれないと感じていた.その頃,留学の二文字を耳にすることがあり最初は縁のないことと思ったが,研究歴の浅い私が一度じっくり研究に取り組むのも悪くないかも…,と思い始めた.上司に相談すると答えはいつもと同じ.「自分の人生は自分で決めなさい.好きなラボを探してどこにでも行ってよろしい」とおっしゃっていただいた.広いアメリカ大陸の地図を眺めながら,どこかに私を受け入れてくれるラボがあるだろうか,と思った.
年が明けて論文がアクセプトされた.ReviewersからやっとOKが出たのかと思うとへなへなと座り込んでしまった.その論文の内容に関与するいくつかのラボに手紙を書いてみると返事が届き,最初は扉が開いたことがただ嬉しかったが,書類を眺めていても何も決められない.アメリカへ行ってみようと思い立ち切符をとった.私の英語力はわかること,話せることもある程度のもので不安だったが,言葉が通じなくてもわかることがあるだろう,と開き直ることにした.
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