Derm.2011
名前をつけよう
金澤 伸雄
1
1和歌山県立医科大学医学部皮膚科
pp.69
発行日 2011年4月10日
Published Date 2011/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412102925
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研究にはオリジナリティが求められます.どこまでがknownでどこからがnovelか,しっかり見極められないといけません.でも細かい内容になってくると,ボスよりも実際に手を動かしている本人のほうがその内容についてよっぽど詳しくなることが往々にしてあります.結局は自分の責任.
私は大学院で遺伝子クローニングをテーマにし,いくつか新しい遺伝子を見つけました.しかし新しい発見と思っても世界で数人が同じことをしているといわれます.次々とほかのグループに先を越され,全く新しい遺伝子として報告できたのはようやく3つ目,大学院を卒業してから発見した遺伝子でした.でも,とにかく新しい遺伝子です.報告するのに名前をつけなければなりません.独断で樹状細胞免疫活性化受容体(dendritic cell immunoactivating receptor:DCAR)という名前にしました.世に受け入れられるか不安でしたが,GenBankに登録して論文が通ると,ほかの論文にも引用されるようになりました.自分が見つけて名前をつけた遺伝子について,世界中のグループが研究を続けているなんて,ワクワクしませんか?
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