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特集 最近のトピックス2011 Clinical Dermatology 2011
2.皮膚疾患の病態
酒皶をめぐる新しい病態論
New approaches toward pathogenesis of rosacea
山﨑 研志
1
Kenshi YAMASAKI
1
1東北大学大学院医学系研究科神経・感覚器病態学皮膚科学
1Department of Dermatology,Graduate School of Medicine,Tohoku University,Sendai,Japan
キーワード:
酒皶
,
自然免疫
,
抗菌ペプチド
,
カセリサイディン
,
カリクレイン
,
セリン・プロテアーゼ
Keyword:
酒皶
,
自然免疫
,
抗菌ペプチド
,
カセリサイディン
,
カリクレイン
,
セリン・プロテアーゼ
pp.56-59
発行日 2011年4月10日
Published Date 2011/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412102893
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要約 酒皶は中高年にみられる慢性炎症性疾患の1つであり,顔面正中を中心とした露光部に比較的限局して出現する.酒皶の病因は不明である.しかしながら,臨床病態の観察から,複数の外的因子の関与が議論され,それらの多くは自然免疫機構と呼ばれる皮膚防御機構を惹起させうる.宿主の自然免疫分子の1つに抗菌ペプチド・カセリサイディンがあり,その過剰発現が酒皶で確認された.異常カセリサイディン・ペプチド発現には,蛋白分解酵素であるカリクレイン5の過剰発現が関与し,酒皶皮膚での蛋白分解酵素活性の増加も確認された.酒皶で見いだされたカセリサイディン・ペプチドをマウス皮膚に投与すると酒皶に類似した皮膚炎症を惹起した.酒皶における病態の少なくとも一部は,自然免疫応答の変化もしくは異常により説明でき,自然免疫の側面から鑑みた酒皶の病態論は,酒皶治療の新たな展開の可能性を含んでいる.
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