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文献紹介 乾癬ではIL-6シグナル伝達はTregによる免疫抑制を阻害する
田村 舞
1
1慶應義塾大学
pp.76
発行日 2011年1月1日
Published Date 2011/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412102797
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乾癬のTmem/effは慢性的に活性化しており,Tregによってほとんど抑制されない.IL-6は炎症性サイトカインで,皮膚ケラチノサイトにおいてはオートクリン的に増殖を起こすことが示されている.マウスではStat3を通じてシグナル伝達をするIL-6によって,Tmem/effはTregによる免疫抑制から逃れている.そこで,乾癬ではIL-6蛋白が増加しており,CD31陽性内皮細胞とCD11c陽性樹状細胞で出現していることを示した.そのため,乾癬の病変部では高容量のIL-6にさらされるとTregの機能を低下させるのではないかという仮説を立てた.
In vitroで,活性化した樹状細胞を用いて,IL-6が,Tregによる免疫抑制を阻害することを示した.IL-6の受容体であるIL-6Rαとgp130の発現は,乾癬のTeffでは正常と比べ著明に増加していた.Treg・TeffともにIL-6に反応し,Stat3をリン酸化した.T細胞におけるStat3のリン酸化はTh17の分化の一因であり,病変部でCD3・IL-17・IL-6と共発現する細胞を同定した.このことはin vitroで乾癬のTmem/effのなかにTh17があり,Tregの抑制にIL-6を仲介して抵抗する,ということを示している.つまり,病変部へ入ってくるT細胞は,内皮細胞や樹状細胞,Th17からの高濃度のIL-6にさらされ,Tregの抑制機能やTh17から逃れることが可能になる.
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