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猿が庭先に来る,というと,なにか里山ののんびりした風景を思い浮かべますが,実際は全く違うのです. 私の京都の家は,北山地区の山の中腹にあります.後ろは,上賀茂神社の寺領である神山とそれに続く国有林(一部は京大農学部演習林)で,うっそうとした森です.2年前から,そこに住む猿の軍団が,近辺に現れるようになったのです.わが家的には,2年前の春のある休みの日でした.朝早く,どたどたと家を揺るがす物音がしたので,女房が階段から落ちたかと思って,見に行ってみました.なんと,庭に猿が数匹おり,屋根の上から飛んだ音だったのです.ちょうど,庭にできていた季節はずれのみかんを食べられました.もちろん,棒をもって追いかけましたが,相手は猿のこと,あっという間に山の中に姿を消したのです.それが,ことの発端で,その後,数か月に1回,多いときは,30匹ぐらい,お父さん,お母さん,息子,娘,赤ちゃん,とやってきて,庭をまるでわが家のようにうろつき,ささやかな家庭菜園のレタスなどを食べるのです.最近では,月に1回,まるで,回診のようにやってきては,悪さをする次第です.あるときなどは,女房がメールをしていて,ひょいと窓の外を除いてみると,猿が庭のぶどうを食べながら,じっと窓越しに見ていた,というような笑えぬ話もあります.聞いてみると,山には,約6家族の猿の集団が住んでいるようです.これが,交代に出没するのです.もちろん,出てくるたびに,おまわりさん,市の職員がやってきて,花火を打ち上げて,音で驚かします.はじめは逃げていたようですが,8月のお盆のときは,既に学習済みで,音だけで怖くないとわかったようで,逃げもしません.もっとも,市職員の乗ってくる軽自動車に猿のステッカーを貼っているので,なめられているのかもしれません.おまわりさんに聞くと,猿に囲まれて襲われそうになったこともあるとのこと.驚いたことに,猿が出てきた数日後には,なぜか鹿も近辺に出てくるのです.この話を孫にしたら,「ライオンも出てくるの?」「お庭は動物園ではありません!」
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