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冬になると枯れ枝にやってくるさまざまな鳥を見るのが楽しい.この時期,わが家の庭には,メジロ,シジュウカラなど色とりどりの鳥が群れをなして飛来する.夏は葉が茂っていて見えないが,落葉した枝から枝に飛び移りながら,虫を食べている姿がよく見える.
今から約30年前,チャンスがあってWashington DCで開催されたFederationに参加した.学会場のホテルの中庭で,親しい内科の教授としゃべっていたときのことである.突然,木の枝に止まっている青い鳥を指しながら,「ヒロ,あれがブルージェイだよ」と教えてくれた.そのあと,彼は延々とバードウォッチの醍醐味をしゃべりだしたのである.バードウォッチャーはひそかに,しかも思いがけぬところにいるのである.その後,Cardiffで,「Shell(石油のShellです)guide to the birds of Britain and Ireland」というカラーイラスト付きのバードウォッチャーの手引きをたまたま見つけた.暇に任せ,Cardiffのあちこちを歩いてバードウォッチをした.日本に帰ってきて,同じようなガイドブックを見つけ,バードウォッチ用の双眼鏡も買った.専門家についてやっているわけではないので,いわゆるdifferential diagnosisのコツはわからないが,それでも本を見ながら庭や公園に飛んでくる鳥を眺めていると楽しい.ただ,このバードウォッチャーはバードウォッチャーの風上にも置けぬ点が二つある.一つは大のハト嫌いなのである.Cryptococcusを持っている点と,個人的には家の周辺に住み着いて夜昼なくぽっぽ,ぽっぽと鳴く公害に憤慨(糞害)したことがあるのである.もう一つは,冬の鴨鍋が大好きで,加茂川あたりの青首(まがも)を見ると涎が出てくるのである.
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