Derm.2010
性感染症―10代の現状
三石 剛
1
1日本医科大学皮膚科
pp.168
発行日 2010年4月10日
Published Date 2010/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412102616
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性感染症は,sexually transmitted diseases(STD)からsexually transmitted infections(STI)に呼称変更され,近年STIに統一されてきています.STIは周知のとおりですが,約30種類ほどの微生物が性行為により伝播し,多種類の疾患があります.クラミジア感染症,淋菌感染症,性器ヘルペス,尖圭コンジローマなどが日本で多い疾患のようです.クラミジア感染症,淋菌感染症は皮膚科学教科書にもほとんど紹介されていないため,皮膚科医としてはあまり診ることがない疾患と思われがちですが,症状がないことがあるために,見逃しやすい疾患ともいわれています.
最近の話題としてヒト乳頭腫ウイルス(human papillomavirus:HPV)ワクチン接種の議論と同時に,日本では尖圭コンジローマはSTIであっても子宮頸癌はSTIではないという議論がされています.これらの疾患がHPV感染によって発症するにもかかわらず,STIとしての線引きがされており,困惑されている先生も少なくないと思います.日常の診療で尖圭コンジローマを診ていますと,その影にクラミジア感染症をはじめとしたSTIが潜んでいることが多々あるのが現状です.
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