Derm.2010
苦しみの末の,physician scientist たちの楽しみ
青山 裕美
1
1岡山大学大学院医歯薬学総合研究科皮膚科学
pp.152
発行日 2010年4月10日
Published Date 2010/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412102614
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研究と臨床は互いに密接な関係があり,過去から現在に至るまで皮膚科学を発展させた病理学,生理学,分子細胞生物学に深い造詣を持った傑出した研究者は,同時に傑出した臨床医である.しかし,近年,最先端の研究と臨床の世界は分離しつつある.皮膚科研究はベッドサイドで語られる直接的な問題と離れたテーマを対象とするようになり,その研究成果が臨床医には理解できない単語を使って語られる一方,臨床医は研究の現場に立ち入らない傾向にある.この現象は現場にいる立場からすれば自然の成り行きであるが,長い目でみると大変深刻な問題であると思う.
1人のスタッフが研究・臨床・教育を器用にこなすのは困難なので,3種の有能な人材をチームに持てば良いという考えが根強くある.しかし,サイエンスが発展し,その成果を新たに予防・診断・治療へ応用するためには,単に基礎医学研究者と臨床医が一時的に協力するのではなく,研究と臨床のかけ橋となるphysician scientistの貢献が不可欠である.
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