Japanese
English
症例報告
乾燥が増悪因子と考えられた扁平苔癬の1例
A case of lichen planus,in which dry skin is regarded as the triggering factor
堀江 千穂
1
,
水川 良子
1
,
早川 順
1
,
塩原 哲夫
1
Chiho HORIE
1
,
Yoshiko MIZUKAWA
1
,
Jun HAYAKAWA
1
,
Tetsuo SHIOHARA
1
1杏林大学医学部皮膚科学教室
1Department of Dermatology,Kyorin University School of Medicine,Mitaka,Japan
キーワード:
扁平苔癬
,
TEWL
,
角質水分量
,
発汗異常
Keyword:
扁平苔癬
,
TEWL
,
角質水分量
,
発汗異常
pp.473-476
発行日 2009年6月1日
Published Date 2009/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412102342
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要約 66歳,女性.2006年8月,下肢を中心に小豆大までの紫紅色斑が出現した.近医皮膚科にてステロイド外用療法を6か月受けたが改善なかった.2007年4月当科初診時,小豆大までの軽度鱗屑を付す紫紅色斑が右下肢を中心に四肢・腰背部に分布していた.触診上,皮疹が密に分布する右下肢は乾燥傾向が強く,反対側の皮疹部と比べ経表皮水分蒸散量(TEWL)の上昇と角質水分量の低下を示した.病理組織学的には,表皮基底層の液状変性を伴う帯状のリンパ球浸潤が主体で,扁平苔癬と診断した.汗腺・汗管の拡張を伴う汗貯留像を特徴的に認めた.以上の所見から,自験例の発症には発汗低下に基づく乾燥が増悪因子となった可能性が考えられた.ステロイド外用を直ちに中止し,保湿剤のみの外用で,3か月後には鱗屑・紅色丘疹ともに著明に消退した.皮膚の乾燥が増悪因子となっている扁平苔癬に対し,漫然とステロイド外用を続けるべきではないと考える.
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