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はじめに
タクロリムス(FK506)軟膏(製品名:プロトピック(R)軟膏)は薬理試験において皮膚での炎症反応,特に活性化T細胞が関与する遅延型アレルギー反応の抑制に有効であり,また即時型アレルギー反応に対する抑制効果も示唆されたことから,アトピー性皮膚炎を対象疾患として臨床開発が進められた.その結果,臨床試験においても優れた有効性が示され,本剤がアトピー性皮膚炎の治療において有用な薬剤であることが明らかになった1~9).本邦では成人に対して0.1%軟膏が1999年6月に承認となり,その後米国(2000年12月),カナダ(2001年6月)および欧州(2002年2月)において,成人に対して0.1%軟膏および0.03%軟膏,小児に対して0.03%軟膏が承認され,2003年7月時点で,世界20か国以上で承認または販売されている.本剤が使用されるまでは,アトピー性皮膚炎治療の主役はステロイド外用剤であったが,本剤の登場によりステロイド外用剤無効例や副作用により使用が困難な患者も皮疹のコントロールが容易となり,アトピー性皮膚炎治療の幅が広がった.本邦においては成人のアトピー性皮膚炎患者における0.1%軟膏の安全性・有効性が確立された後に,小児(2歳以上16歳未満)のアトピー性皮膚炎患者を対象とした臨床試験が実施され10,11),2003年7月に0.03%軟膏が承認された.これにより本邦における小児アトピー性皮膚炎治療に新たな進歩をもたらすことが期待される.
タクロリムス軟膏0.1%が世界に先駆けて本邦で承認されてから,約4年が経過した.本邦での0.1%軟膏承認後も国内外で多くのデータが蓄積されており,さらに本邦では0.03%軟膏が小児に対し承認されたことから,「アトピー性皮膚炎におけるタクロリムス軟膏0.1%および0.03%使用ガイダンス」として,国内外の臨床試験および市販後の知見をもとに改訂版を作成した.本剤は適正に使用されれば極めて有力な治療手段になり得る薬剤であり,多くの患者のQOL向上をもたらす可能性を有する薬剤である.本剤の正しい使い方を理解し,患者にとって有用な薬剤となるよう是非参考にしていただきたい.
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