Derm.2006
今日の記載皮膚科学
竹内 常道
1
1東京慈恵会医科大学皮膚科
pp.71
発行日 2006年4月1日
Published Date 2006/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412100625
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アトピー性皮膚炎の患者さんを診察していると,穏やかな皮疹であるにもかかわらず,皮疹の生じた部位によっては治りにくいものがあることに気がつく.上肢伸側や下顎下縁,耳介後部や後頸部などがそれで,いずれも体をよじるか,合わせ鏡でも使わなければ自分で見ることはできない.そのため,皮疹を見落としやすいばかりか軟膏も塗りにくく,痒みを激しく感じなくなった皮疹が治りにくいのであろう.このようなときには,気がつかずに残っている皮疹のあることを教え,「見えにくい部位なので自分一人で塗ろうとせず,時には家族の方に塗っていただくのも良いですね」とお話ししている.
このように,皮疹はそこに正確に軟膏が塗られなければ治っていかず,手探りで塗っていてもそれほど良くはならない.背部の瘙痒疹で困っている患者さんに,患者さんがもっているのと同じ軟膏を塗ってみたら,「それまでの辛さが軽くなった」と言われたことがあった.飲み薬は飲み忘れなければよいが,軟膏は皮疹に適切に塗られなければ十分には効かない.遷延したり難治な湿疹病変を診たら,「痒いときにだけ,塗ってはいませんか?」とお尋ねしたり,軟膏を実際に塗って差し上げたりしている.
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