Japanese
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臨床統計
愛知医科大学皮膚科におけるセンチネルリンパ節生検を施行した悪性黒色腫の統計的観察
A statistical study of sentinel lymph node biopsy for malignant melanoma performed at the Department of Dermatology,Aichi Medical University
久原 友江
1
,
水谷 建太郎
1
,
渡辺 大輔
1
,
玉田 康彦
1
,
松本 義也
1
,
大野 和子
2
,
原 一夫
3
Tomoe KUHARA
1
,
Kentaro MIZUTANI
1
,
Daisuke WATANABE
1
,
Yasuhiko TAMADA
1
,
Yoshinari MATSUMOTO
1
,
Kazuko ONO
2
,
Kazuo HARA
3
1愛知医科大学皮膚科学教室
2愛知医科大学放射線医学教室
3愛知医科大学病院病理部
1Department of Dermatology,Aichi Medical University
2Department of Radiology,Aichi Medical University
3Department of Pathology,Aichi Medical University Hospital
キーワード:
センチネルリンパ節生検
,
色素法
,
RI法
Keyword:
センチネルリンパ節生検
,
色素法
,
RI法
pp.297-300
発行日 2006年3月1日
Published Date 2006/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412100554
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2000年1月から2004年5月までに,当科にて色素法とRI法を用いてセンチネルリンパ節生検(SLNB)を施行した悪性黒色腫17例について検討した.男性12例,女性5例,平均年齢は57歳であった.Breslow(腫瘍の厚さ)3.0mm未満は10例で,全例ともセンチネルリンパ節(SLN)転移はなく,予防的リンパ節郭清は施行していないが,約26か月の平均経過観察期間で,再発転移は認めていない.Breslow3.0mm以上は7例であり,そのうち2例がSLN転移陽性であり,その2例にリンパ節郭清を施行したところ,非センチネルリンパ節(non-SLN)転移陽性であった.1例はリンパ節郭清から約8か月後に多臓器転移で死亡,残りの1例も皮膚転移が多発,傍大動脈リンパ節転移も認めた.一方,7例中5例にSLN転移がみられず,この5例においては予防的リンパ節郭清を施行せず経過をみていたが,そのうち3例はSLNBから約1~2年半後に遠隔転移をきたして死亡した.これらの症例は血行性転移の可能性が考えられた.今回の統計の結果からは,Breslow3.0mm以上の症例においてはSLNBの結果と予後は必ずしも一致しなかったが,SLN転移陽性例では2例とも遠隔転移が起きていたことを考えると,StageII以上の悪性黒色腫の症例に対しては積極的にSLNBを行うべきと考える.
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