Japanese
English
症例報告
組織学的に棘融解細胞を認め,天疱瘡を疑わせたMRSAによる頭部伝染性膿痂疹の難治例
Impetigo contagiosa due to methicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) on the scalp with histologic features including acantholytic cells mimicking pemphigus:report of a case
横倉 英人
1
,
梅本 尚可
1
,
加倉井 真樹
1
,
平塚 裕一郎
1
,
東 隆一
1
,
林 和
2
,
出光 俊郎
1
Hideto YOKOKURA
1
,
Naoka UMEMOTO
1
,
Maki KAKURAI
1
,
Yu-ichiro HIRATSUKA
1
,
Ryu-ichi AZUMA
1
,
Mutsumu HAYASHI
2
,
Toshio DEMITSU
1
1自治医科大学附属大宮医療センター皮膚科
2自治医科大学附属大宮医療センター臨床検査部
1Division of Dermatology,Jichi Medical School Omiya Medical Center
2Division of Bacteriology,Jichi Medical School Omiya Medical Center
キーワード:
膿痂疹
,
MRSA
,
天疱瘡
,
棘融解細胞
,
抗生物質
Keyword:
膿痂疹
,
MRSA
,
天疱瘡
,
棘融解細胞
,
抗生物質
pp.1331-1333
発行日 2005年12月1日
Published Date 2005/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412100368
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要約
68歳,男性.2週間前より頭部に難治性のびらんがあり,来院した.初診時,前頭部を中心に紅斑,びらんを認めた.伝染性膿痂疹を疑って,セフェム系抗生物質やホスホマイシンで内服治療を行ったが,皮疹は拡大した.組織学的には角層下水疱内に棘融解細胞,真皮には少数の好中球を混じる小円形細胞浸潤を認めた.臨床像,組織所見,および経過より天疱瘡を疑ったが,蛍光抗体法は陰性であった.細菌培養ではメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が分離され,レボフロキサシン投与により,皮疹は治癒した.以上より,頭部に限局したMRSAによる伝染性膿痂疹と診断した.伝染性膿痂疹でも組織学的に好中球浸潤に乏しく,棘融解が主体のこともあり,難治例では天疱瘡と誤診する可能性もあるので注意が必要である.また,MRSAによる膿痂疹の増加している今日,各施設における薬剤感受性結果を踏まえた抗生物質の選択が必要である.
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