医療ガイドライン
耳鼻咽喉科におけるウイルス検査—特に市販検査キットについて
森田 盛大
1
1秋田県衛生科学研究所
pp.693-701
発行日 1990年8月20日
Published Date 1990/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902674
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はじめに
ウイルス感染症の病原診断方法の概略については,病原診断を行う際の一般的な注意点も含めて,前回1)紹介した。その骨子を繰り返すと,病原診断の基本はウイルス分離検査(またはウイルス抗原検出)と血清学的検査であり,これに各種の情報(患者由来,ウイルス疫学,ウイルス検査など)を加えて総合的に病原ウイルスを診断すべきであるということであった。しかし,これらのウイルス検査の大半はかなり高度な施設・設備や技術あるいは多くの費用や労力などを要する実験室に頼らざるを得ない。このことがウイルス検査の大きな隘駐路の1つであった。
そこで今回は,このような隆路を少しでも打開するため,実地医家が臨床サイドで出来るもの,あるいは出来るだけ実験室の負担を軽減するものとして,市販されているウイルス検査キット—耳鼻咽喉科に関係の薄いものもあるが—を中心に紹介する。ただし,これらのウイルス検査キットをあらかじめ1つ1つテストした上で紹介するのが本来であるが,実際上極めて困難なことであるので,各メーカーの資料を参考として紹介することをあらかじめお断りしておきたい。また,各キットに用いられている検査方法の原理については前回1)紹介したが,各キットの実際の方法は,例えば同じEIA法でもそれぞれのキットによって部分的に異なっているので,資料や使用書を入手してご検討いただきたい。また,各ウイルス感染症の実験室内診断法の詳細については成書2,3)を参考にされたい。
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