特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科における手術の危険度
鼻
20.内視鏡的鼻・副鼻腔手術
春名 眞一
1
1東京慈恵会医科大学耳鼻咽喉科教室
pp.95-99
発行日 2002年4月30日
Published Date 2002/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902538
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はじめに
慢性副鼻腔炎の病態の軽症化と内視鏡を中心とした光学器械の発展に伴って,内視鏡下鼻内副鼻腔手術(endoscopic endonasal sinus surgery:ESS)は世界的な標準術式になっている。その目的は,中鼻道自然口ルート(ostiomeatal complex)を開放し各副鼻腔自然口を可及的に開大し,換気と排泄機能を促し,洞内の粘膜を正常化させることにある1〜5)。ESSの手術操作において鼻・副鼻腔の解剖は個体差を有し,かつ眼窩,前頭蓋底などの重要な臓器に接しており,多くの危険部位が存在する(図1)。したがって,ESSが多くの施設で施行されるとともに,手術中に重要な血管,神経を損傷し,重大な合併症に至る報告も増加していると思われる。内視鏡が鼻内手術に導入されて局所を拡大視できるようになっても,正しい局所解剖と多くの経験が必要であることは何ら変化はない。
本稿では,手術前,中,後の予想される合併症とその回避および対応について述べる。
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