特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科における手術の危険度
鼻
17.鼻内篩骨洞手術のリスクマネージメント
市村 恵一
1
1自治医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.82-86
発行日 2002年4月30日
Published Date 2002/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902535
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はじめに
副鼻腔の臨床解剖に熟知し,術前に画像により解剖学的変位を検討し,患者の術中状態が安定し,出血が制御され,常に危険部位に注意を払うという条件が重なればほとんどの合併症は防ぎ得るであろう。しかし,どんなに熟達した術者でも,古典的な方法,最新の方法にかかわらず,副鼻腔手術には合併症の危険性がつきまとうことはよく指摘されるところである。合併症をメジャー(重度)なものとマイナー(軽度)なものに分けることが欧米では行われているが,その分類は曖昧であり,論者により微妙に異なる。Mayら1)は合併症を自然軽快するもの,治療により軽快するもの,永久に残るものに分類し,後の2者を重度としているので,ここではそれを採用する(表1)。また,合併症は障害を受ける部位別に,すなわち中枢神経系,視器,その他に分類して検討するとわかりやすい。
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