鏡下咡語
極める
設楽 哲也
1
1北里大学
pp.534-535
発行日 2001年7月20日
Published Date 2001/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902397
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極めるという言葉は職人が技を極めるというふうに用いられる。学問の場合には究めると言ったほうがよいのかもしれない。医療全般においても究めるも極めるも使ってよさそうに思えるが,私はどちらの意味にも使いたい。極めるという場合には職人的な技術を対象とし,究めるというと知識を対象にするように思え,技術と知識が対立するものとして捉えがちであるために,職人芸は知識に乏しく,知識がある場合には技術に乏しいとする見方が出てくる。私としては,知識と技術の両立が望ましいと言いたいのである。
かつては小手術の名手達が居られた。今でも居られるかもしれないが,小手術の頻度が減り,話題性に乏しいので表面には出てこない。大学病院では大手術にあこがれて,小手術への関心が高いとは言えない。今はなおさらのことではあるが,私の医師の駆け出し時代である昭和三十年代でもそうであった。
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