特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域の新しい器械,器具
Ⅰ.ナビゲーションシステム
1)耳科手術
福田 諭
1
,
佐伯 昌彦
1
,
千田 英二
1
,
中丸 裕爾
1
,
黒田 努
1
,
松村 道哉
1
,
武市 紀人
1
,
古田 康
1
1北海道大学大学院医学研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学分野
pp.7-13
発行日 2001年4月30日
Published Date 2001/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902341
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はじめに
1999年2月,アメリカのCBSニュースが,内視鏡下ロボットによる心臓冠動脈バイパス手術の成功をセンセーショナルに報道したことは記憶に新しい。低侵襲手術,内視鏡下手術,ロボット工学などをキーワードとして,近年,最新のコンピューターテクノロジーを駆使したナビゲーションシステムが脳神経外科,整形外科(脊椎外科),そして当耳鼻咽喉科領域での手術現場で使用されてきている1)。この背景には,1)カルテ開示から手術開示の可能性,2) EBM (evidence based medi-cine)からevidence based surgeryという概念の出現,3)医療訴訟の増加,4)医師(手術者)側のQOL,5)学生・研修医への教育などが挙げられる。
外科医師の頭脳には,術野に関する完壁な解剖学的知識があるとされるが,その一方で術者の解剖学的位置の誤認による手術合併症が増加しているともいわれる。こうした中,耳鼻咽喉科領域でのナビゲーション手術例の報告,研究会の設立などが現実となってきている2)。わが国における当科領域でのナビゲーションは,鼻・副鼻腔手術での報告が圧倒的に多く3),欧米の報告4,5)を除き耳・側頭骨領域の手術ナビゲーションの報告は現在まで極めて少ない。われわれは1999年7月から,耳・側頭骨手術において光学式ナビゲーションシステムを使用しており6),この経験を軸として耳・側頭骨手術における具体例,有用性,問題点,改良点,限界,将来性などについて概説したい。
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