Current Article
内耳の可塑件について
山下 裕司
1
1山口大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.9-13
発行日 2001年1月20日
Published Date 2001/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902287
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
近年の神経系における可塑性の研究の進歩には目を見張るものがある。内耳における可塑性の研究も,これらの研究の展開と相まって新しい段階を迎えていると言える。遺伝性難聴の原因遺伝子も同定され,遺伝子治療も具体的に語られるようになってきた。しかし,突発性難聴をはじめとする内耳疾患において,どのような機序により内耳機能が回復するのか,どの部位において再生が認められるのかに関しては不明な点が多い。
本稿では,哺乳動物の内耳における再生研究に関して整理するとともに,われわれの知見を加えて報告する。内耳の機能回復と関連して障害後に再生する可能性のある部位として,1)内耳神経,2)内耳感覚細胞,3)ラセン靱帯の3点に注目して述べていきたい。
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.