トピックス 補聴器とその適合
2.補聴器専門店の認定
宮永 好章
1
1(株)神戸ヒヤリングセンター
pp.803-806
発行日 2000年11月20日
Published Date 2000/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902261
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はじめに
わが国における今日までの補聴器供給のあり様を振り返ってみると,昭和30年代(1955年)まではその需要も少なく,ごくわずかの販売店で扱われている特殊な用具としてのものであった。その利用者も現在のような高齢者中心ではなく,伝音難聴をもつ人の率が高かったであろうと思われる。身体障害者福祉法の補装具として交付措置が行われていたが,その適合についてはもっぱら使用者の評価に頼っており,補聴器を医療の一部として理解し関心を寄せる医師,関係者は多くはない状態であった。その後,補聴器の性能向上に伴い生来性の難聴児への装用,高齢者の増加に伴い感音難聴への適合の必要が生じてきたが,1986年日本耳鼻咽喉科学会に「ヒヤリングエイドシステム研究会」が置かれるまでは,関係者が一同に会し組織的に補聴器供給をどのように行うかを検討したことはなく,補聴器販売の現場は言わば無秩序な状態であり,補聴器購入者はたまたまよい形で入手できるか否かはわずかな口コミ以外の情報はなく,くじ引きに当たるようなものであった。現在では多数の耳鼻咽喉科医が補聴器に関心をもつこととなり,販売店の意識も改善されつつあるが,今なお身体障害者福祉法によるものを含めても医師の関与によって購入される頻度はわずかに全販売量の15%程度と推定されており,依然として単なる民生用商品としてほとんど専門知識をもたない者の手によって販売されている部分が相当数にのぼる状況にあることは,まことに嘆かわしい限りである。
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