目でみる耳鼻咽喉科
鼻副鼻腔悪性黒色腫を合併したウェルナー症候群の1例
山本 一博
1
,
小川 克二
1
,
井口 芳明
1
,
越野 樹典
1
,
伊藤 昭彦
1
1横須賀市立市民病院耳鼻咽喉科
pp.790-791
発行日 1998年11月20日
Published Date 1998/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411901879
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ウェルナー症候群は早期老化症状を主徴とする遺伝性疾患で,悪性腫瘍を高頻度に合併することが特徴の1つである。今回われわれは,鼻副鼻腔悪性黒色腫を合併したウェルナー症候群の1例を経験したので報告する。
症例は51歳,男性。数か月前から出現した左鼻出血,鼻閉を主訴に当科を受診した。1986年,他院にてウェルナー症候群と診断されている。既往歴に白内障,糖尿病,高血圧,右足底部の潰瘍がある。体型は小柄,痩せ形で,外鼻は尖り白髪であった(図1)。前鼻鏡所見上,左総鼻道に充満する腫瘤性病変を認めた(図2)。副鼻腔単純X線所見では左上顎洞,篩骨洞を中心に一側性陰影を認め(図3),副鼻腔CT所見では内部がやや不均一な病巣として描出された。組織生検を施行し悪性腫瘍が疑われたため手術を施行した。腫瘍は左鼻腔から篩骨洞,蝶形骨洞に進展しており,上顎部分切除術を行った。摘出した検体を図5に示す。病理組織学的にはメラニン顆粒の存在が認められ(図6),抗HMB45抗体を用いた免疫組織化学染色法で陽性であった。
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