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はじめに
インターフェロン(IFN)は抗ウイルス作用,抗腫瘍作用,免疫調節作用などを有するサイトカインで,臨床的にウイルス性慢性肝炎患者や白血病,その他の悪性腫瘍患者に使用されている。副作用に関しては,ほぼ全症例にみられるインフルエンザ様症状,白血球や血小板の減少,脱毛などから,稀ながら死亡にまで至る間質性肺炎まで様々な報告がされており,聴覚にも影響を及ぼすという報告1〜5,6)がある。われわれも,IFN治療を行った慢性肝炎患者の約40%に高音域に比較的軽度で可逆性の感音難聴が生じたことを報告した3,6)。また,聴覚障害例では中性脂肪が著しく増加する症例が多く,聴覚障害を起こすメカニズムとして,内耳微小循環障害が関与している可能性が示唆されている3,6)。高音域の聴力閾値は正常者においても変動しやすく,INFによる聴力変動は一般的に認知されていないのが現状である。今回は,IFNによる聴覚障害が生ずることを確認するため,マウスの聴力を聴性脳幹反応(ABR)にて評価し,IFNの聴器に及ぼす影響について検討した。
We investigated auditory-evoked brainstm response (ABR) in mice during and after administra-tion of IFN. Reversible threshold changes were found in 8 kHz and 16 kHz tone bursts during administration of IFN. Prolongation of wave I-V was observed at 16 kHz. The reversible threshold changes indicated that there would be the similar mechanism of IFN induced hearing loss in mice and in human. Prolongations of wave I-V suggested that the retrocochlear involvement in IFN induced hear-ing loss.
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