特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域の画像診断
5.咽頭
3.下咽頭・頸部食道のCT・MRI
中島 格
1
,
宮城 千里
1
,
和田 進
2
,
島村 易
2
1国立病院九州がんセンター頭頸科
2国立病院九州がんセンター放射線科
pp.162-168
発行日 1995年11月20日
Published Date 1995/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411901253
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■はじめに
下咽頭・頸部食道癌は,頭頸部悪性腫瘍だけでなく全臓器癌のなかでも予後が不良なことで知られる疾患の1つである。したがって治療成績の向上には他領域疾患以上に早期発見・早期治療が大切であるが,必ずしも容易なことではない。下咽頭・頸部食道は,外部からは見えない部位であり,嚥下障害や嚥下時痛などの症状が出現したときはすでに病期が進行していることが多いからである。また日常診療のなかで下咽頭など上部消化管を直接観察し,診断を行うのは耳鼻咽喉科医だが,そのわれわれも早期発見の機会を逃したり誤診をすることが多いのが実情である。最近になってファイバースコープが一般臨床でも容易に行えるようになり,早期診断されるようになったが,病巣の進展範囲や治療に結びつく情報はどうしても画像診断に頼らざるを得ない。
CTやMRIは新しい画像診断法として頭頸部領域でも急速に普及してきたが,下咽頭・頸部食道については内視鏡や造影X線などが有効で他の頭頸部疾患ほど定着していない傾向にあった。しかし検査機器の性能の向上に伴ってその有用性はますます高まっており,本稿では著者らの経験を中心に下咽頭・頸部食道のCTおよびMRIによる診断について述べてみたい。
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